(2008年06月30日)
カメさんのご投稿
◆客室
たまたま“ホテル”の所にチェックを入れ忘れて検索したら引っかかり、“桂離宮がモデルの明治末期建築、純京町家。国の登録有形文化財”の言葉に惹かれて行ってみたら、いろんな意味でびっくりの宿でした。
暗い路地にほのかに明るく浮かび上がる玄関。(国の「登録有形文化財」のプレートが嵌ってます)狭く急な階段を通って2階に上がり、これまた狭い廊下を抜け、視界が開けた所でライトアップされた中庭。大きな石灯籠と白壁の蔵。異世界へ迷い込んだ、という気分です。
通されたのは10畳の書院造の部屋。廊下側の障子の真ん中の部分がガラスになっているので、ガラス越しに庭を見ることができます。このガラスが歪んで見えるのでもしやと思ったら、やはり昔のものでした。2階のここと1階の一部のガラスはできた当時のものだそうです。“日本間の格”は私にはわかりませんが、床柱がこれでもか! というくらいコブだらけである意味貴重なのかも? 襖の引手が蝙蝠の形。壁の下の方はくすんだ紺。普通の住宅では見られないものがいろいろあって、とても新鮮に映りました。
泊った日は5月らしからぬ気温で、綿入り半纏の暖かさがとても嬉しかったです。
◆お茶
部屋へ通された後、抹茶のサービスがあります。生菓子付き。純和風の古いお家で庭を眺めながら、「ああ、日本だなあ。」と思いました。
◆風呂
お風呂は1ヶ所で、部屋ごとに交代で使います。脱衣所には基礎化粧品やシャワーキャップ、バスタオルなど一通り揃っているので不便はないと思います。
宿のサイトによると浴槽は槙の木。大人二人が並んで寝そべることができるくらい余裕があり、シャワー付きのカランが3つ、と洗い場も十分に広いです。
◆施設
お風呂は1ヶ所、トイレは3ヶ所、洗面所も共用ですが、できるだけ動線や視線がぶつからないよう工夫されています。泊った部屋は共用の廊下との間に”ドアもどき”とでも言いますか、形状はドアだが機能的には単なる目隠しという変わったモノがありまして、ご丁寧に「引く PULL」とか「押す PUSH」とか書いてある。どう見ても新しいものには見えないのですが、これは何と呼べばよいのやら。
廊下に宿の名前の入った陶板が埋め込んであったり、丸窓になっている所があったり、と絵になる場所があちこちにあります。洗面所は半分外にいるようなもので冬はちょっとつらいかもしれませんが、庭に面しているので気候のよい時には気持ちいいでしょう。
◆朝食
“正しい日本の朝ご飯”をいただきました。ご飯・味噌汁・香の物・お豆腐・竹の子の木の芽和え・だしまき卵・おひたし・焼鮭。特別ぜいたくなものも京都を演出したものもありません。でも、おいしい。おひつに入ったご飯なんて何年ぶり。小袋に入った味付け海苔とかパックに入ったままの納豆とか、味気ないものは一つもない。竹の子の皮をそのままお皿代わりにしたり、高さが3、4センチしかないガラスの醤油さしとか、さりげなく素敵な演出があります。
◆スタッフ・サービス
とにかく女将さんが気さくな楽しい方です。古い建物を維持する苦労や文化財を現役で使う面倒をいろいろ語ってくださったのですが、文化財を守り続ける意義などといった肩肘張ったものでなく、なんとも肩の力の抜けた様子であるのが好もしいのです。
◆感動した点
明治42年に薬屋の社長さん宅として作られたものを譲り受け、長いことお馴染みさんだけを泊める旅館だったそうですが、一度は旅館を廃業し、マンションにすることも考えたそうです。しかし、回りからの勧めもあり、4年ほど前から一般客を受け入れネット予約を始めてみたら大好評で、今では6室全てが埋まる日も多いとか。
お客さんに快適なようにと手を加えすぎれば、今度は文化財としての価値を失ってしまう、そういう制約の中で本当によくやっておられると思います。トイレはウォッシュレットが付いてますし、洗面所ではお湯が出る。ホテルのように数歩歩けば済むというわけにはいきませんが、それほど不自由はないはずです。そういう姿勢がお客さんを呼ぶのでしょう。一度泊ってリピーターになってしまった人、新婚旅行などの記念旅行にこの宿を選ぶ人(私が泊った日も1組いました)、外国の方も多いそうで、通訳以外は全て外人さんということもあったとか。洗面所やお風呂場の備品は全て英語が併記されていました。
古いだけに住んでいる人にとってもまだまだナゾがあるようで、庭石はお寺からもらったものらしいとか、玄関先の金属製亀形の物体の用途とか、いろいろ面白い話をうかがいました。
場所がちょっとわかりにくいですが、東横インを目印に曲がり、更に1本目を曲がると考えればよいでしょう。地下鉄・五条駅から京都駅経由で奈良へ行くつもりで出発したら、奈良行きの直通列車に乗れました。16時頃までは1時間に2本、直通があるようです。奈良・京都を両方回りたい人には便利だと思います。
宿の性格上、至れり尽くせりのサービスや、外の人の気配が気になる方にはお勧めできませんが、建物に興味のある方、京の町家の雰囲気を味わいたい方にはおすすめの宿です。
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ホテル名:十四春旅館 エリア:京都府京都市 交通:地下鉄五条駅徒歩2分 参考:宿泊口コミ一覧 空室検索・予約: |
(画像提供:じゃらん.net)

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